R6年1月から生前贈与の課税ルールが変わる

相続税・贈与税が65年ぶりに改正

相続対策として有効なものが「生前贈与」です。

生前贈与とは、生きているうちに財産を移転しておくことです。亡くなると財産は相続人に相続されますが、自分が生きているうちに、確実に財産を移転できる贈与をしておくと相続財産を減らすことができ節税効果はあります。2023年度税制改正大綱により、生前贈与の「節税つぶし」を含む相続税・贈与税のルールが65年ぶりに改正されました。生前贈与加算の延長や相続時精算課税制度の見直しなどです。

暦年課税制度は厳しくなる

暦年課税とは、1月1日から12月31日までの1年間に贈与された合計金額から、基礎控除額110万円を差し引き贈与税を課すことです。つまり年間110万円以下の贈与は贈与税がかかりません。

贈与した人が亡くなる以前3年間の贈与は相続税の課税対象で「生前贈与加算」となりますが、改正後では7年に延長されます。期間が延びることで課税遺産総額が増え、改正後は節税になりにくくなります。

相続時精算課税制度は使いやすくなる

相続時精算課税制度は、60歳以上の父母・祖父母から18歳以上の子や孫に贈与すると、合計2500万円までの贈与は贈与税かかかりません。贈与税がかからない代わりに、相続時には過去にこの制度により贈与した分もまとめて相続財産として課税されます。

2024年改正後から、相続時精算課税制度を選択した後に年間110万まで基礎控除ができるようになります。控除した110万円分は相続時にも相続税が加算されません。これまでは少額でも申告が必要でしたが、改正後は110万円以下の贈与なら申告不要になります。贈与税がかかるのは、毎年の贈与のうち、110万円を除く贈与の累計が2500万円を超えた分になります。この110万円控除は暦年贈与の基礎控除110万円とは別枠になります。